損益分岐点分析をやってみよう

損益分岐点とは

損益分岐点(BEP=break even point)とは、現在の費用構造において売上高をいくら獲得すれば赤字が出ないで済むか?という状態を指します。下の表は売上高と費用のシミュレーションですが、Ⅰ 及び Ⅱでは赤字ですね。Ⅲの売上高3,000千円を稼げば、やっと利益を出すことができます。すなわち、この費用構造の場合では損益分岐点は大体3,000千円ということになる訳ですが、もっと正確に計算できますので、それは後半で。

上の説明で「この費用構造の場合」と言いましたが、事業の種類や性質によって売上高に占める費用の割合は変わってきますので、上表の数値はあくまでも一例として考えてください。重要なことは、自分の会社(お店)の「費用構造を知る」ことです。

まずは費用構造を分析しよう

費用は、売上高の増減に伴って増減する「変動費」と、売上高が変化しても固定的に発生する「固定費」に分類することができます。具体的にはそれぞれ次のような項目が挙げられます。

【変動費】ーーー 売上高に連動して増減する費用
・材料費 ・・・(製品製造のための材料や商品の仕入高)
・外注費 ・・・(人件費のうち残業代、パートやアルバイトも含む)
・光熱費 ・・・(電気、ガス、水道料金、ガソリン代)

【固定費】ーーー 売上高の増減の影響を受けず毎月一定額が発生する費用
・人件費 ・・・(社員の基給料、社会保険料等)
・家賃 ・・・・(事業所賃貸料)
・固定資産償却費 ・・・(固定資産税等含む)
・リース料 ・・・(コピー機等の事務機器、リース車両等)

以上を集計した結果、次のような表になったと想定します。上の表の「費用」を変動費と固定費に区分したものです。変動費はⅠ(700)→Ⅱ(1,400)→Ⅲ(2,100)と右に移動するに従って金額が変化していますが、固定費は800千円のまま変わりません。

限界利益とは

ここで限界利益の説明をします。限界利益とは「売上高から変動費を控除した利益」であり、固定費を回収するための源泉とも言えます。つまり限界利益を超える固定費が発生した場合は、その期は赤字になるということになります。

下の表では、限界利益を黄色くハッチングしています。Ⅰのケースでは限界利益300千円では固定費800千円を回収しきれず、▲500千円の赤字です。Ⅱのケースでも同様に、限界利益600千円では固定費回収できていません。ケースⅢで限界利益900千円のとき、やっと固定費800千円を賄うことができ、100千円の利益を残すことができました。

損益分岐点売上高を調べる

これまでの使用構造を基に、損益分岐点グラフを描いてみましょう。横軸が売上高、縦軸が費用を表しています。緑色の線が売上高であり、これは斜め45度の線を予め引いておきます。グレー線は固定費であり、売上高の変化にかかわらず800千円をキープしています。そしてオレンジ色の費用線は売上ゼロの点では800千円からスタートし、売上高の増加に従って右肩上がりの直線となります。変動費の線ですが、示す金額は費用計(=変動費+固定費)です。

緑色の売上高線とオレンジ色の費用線が交差するポイントがありますが、これがまさしく損益分岐点です。この点を境に、売上減(左側)なら赤字、売上増(右側)なら黒字となります。冒頭で損益分岐点売上高を計算できると申し上げましたが、計算式は以下のとおりです。

損益分岐点売上高 = 固定費額 / 限界利益率
800千円 / 30% = 2,666.66…千円

損益分岐点売上は大体3,000千円と言っておりましたが、正確には2,667千円となりました。

まとめ

損益分岐点と限界利益について説明しましたが、大事なことは自分の会社(お店)の費用を分析し、その費用構造を理解して、経営に活かすことです。利益を獲得するには売上高を伸ばすか、または費用を抑えるかのどちらかしかありません。売上高に対して固定費の占める割合が高すぎないか、或いは変動比率が大きすぎて薄利多売の事業構造に偏りすぎていないか。人を雇う時や新たな設備投資を決定する際の経営判断に用いることができます。

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